ニュー新橋ビル

これまでに新橋に行く事が殆ど無かった。

先日たまたま夜に行った。適当に食事をする為に駅前のニュー新橋ビルに入った。

おそらく東京都内で仕事している人ならなら誰もが知っている新橋のランドマーク的な

商業施設だ。入るのは初めてだった。

 

驚いた。

そこには紛れもなく香港の九龍城のバイブス、

とは言わないまでも確実に重慶大厦(チョンキンマンション)、もしくは上海のうらぶれたビルのそれが広がっていた。

 

全部で何階まであるのかは忘れたが、地下1階から地上4階までが商業施設になっている。どの店も昭和からそのままといった風情だ。

 

独特の歪んだ時空の中に、居酒屋、スナック、食堂、マッサージ、雀荘囲碁道場、釣り道具、床屋、ゲームセンター、大人のおもちゃ屋、etc。店舗並びも非常にとりとめもない。

これは俺の大好きな中華系アジアンカオス!

 

そもそもビルの外観が何なんだ。どういうデザイン意図なのかは分からないが、鉄格子に覆われているようにしか見えない。新橋のざわめきに隠れているが、よく見ると新橋の夜に妖気を放ちまくっている。

 

何故か居酒屋も中華系の店員が多く、それぞれの看板娘が店頭に出て呼び込みをしている。マッサージ屋も殆どが中華系だ。どれも決してあっち系の店ではない。至って健全な店なんだが。ぼやけたトーンの蛍光灯に照らされた廊下にこだまする“お兄さん~、お兄さん~”の呼び声がたまらない。

 

客層は新橋度120%、9割以上がスーツ姿のおっさん達だ。

初老のサラリーマンやバーコードできちっと決めたリアルサラリーマンが真剣に雀荘で、囲碁道場で卓を睨んでいる。すごいクールだ。いつか見た九龍城の写真集に写っていたよれよれタンクトップ姿でゲームに興じているおっさん達の姿がシンクロする。

 

このビルに妙な安堵感を感じるのは、着飾ったオネーチャンや若造がおらず、

リアルおっさんしかいないからかもしれない。

 

東京のど真ん中の駅、更にそのど真ん中に堂々とこのビルはある。山手線のホームの真ん前にある。

 

なぜ誰も何も話題にしないんだ? ただ会社帰りの一杯の為に利用されているだけなのか?

 

香港旅行を予定している貴方。上海旅行を予定している貴方。さあ全部キャンセルしよう。

 

このビルに入ってチューハイでも飲もう。

何杯がひっかけて脳にエフェクトをかけ、フェイウォンの夢中人でも聴こう。

今の中華圏には無くなってしまった、ウォンカーワイ & クリストファードイルの世界が広がっていくだろう。

 

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